ぎこの観たもの聴いたもの

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「犬猿」ドン・ジョンソンてお前誰えええぇっ!?

簡単に言えば兄弟姉妹の血肉の争い。家族の愛憎というか。近しいからこそ「いっそ死んでくれ」と言う濃密な感情が生まれてしまう。

粗暴な兄の設定に思い出したのが、なかにし礼氏の「兄弟」。これ未読なんだけど、たしかビートたけしでドラマ化して内容はざっくり知ってる。破滅的な兄に弟の人生が侵食される話だ。死んで欲しいという憎しみと肉親への愛情に心が千切れるような苦しみに見舞われる半生が描かれてるという。

あらすじを読んだだけでも気が滅入る。たけしがお兄さん役としたらもう理不尽な暴言や暴力満載だろうとげんなりした気分になったことを覚えてる。(ドラマも未見)


兄弟 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇

 


家族間の愛憎劇と言ってしまえばよくあるテーマだと思う。けれどこのキャスティングで乾いた笑いを濁らせたように織り交ぜて、妙なスリルと滑稽さ、そして哀愁が増幅された。

 

新井浩文の安定のクズ感が堪らなく怖くて嫌だ。人間のすごく嫌な部分をナチュラルに演じて恐怖と不快を覚えさせる。こういう役者、この人とリリー・フランキーが群を抜いてると思う。微笑と暴力を同じ熱量で発する演技、このふたりくらいしか浮かばない。いや、他にも居るだろうけど悪気なく嫌悪感を抱かせる視線とか、底知れない恐怖しかないよ、彼らには。

予告編にニッチェ・江上演じる姉のちょっとした「ダンスシーン」があって、それがあまりに面白くてうっかり観る気になってしまった。「面白そう」って思ってしまった。

 

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生真面目で常に刺々しい態度のデブス(これ悪口じゃなくてそういう脚本になってたって江上さん自身が仰ってます)な姉。そんな姉にも恋心や健気な思いがあることを周囲は気付かない。いや見ようとしない。彼女の「ダンスシーン」は笑えるんだろうけど、私には哀しくて、その後想像される展開にスッと笑いが出なかった。まぁ楽しみにしてたから苦笑い的には笑ったんだけど。

 

劇場の雰囲気はなんとなく軽くて、ひっきりなしにポップコーンを漁ってカリッカリッと咀嚼音を響かせて食べるひと、ちょいちょいスマホを観るひと、笑わせるシーンではあちこちから遠慮なく笑い声が上がる。(批判ではないです、念のため(いやポップコーン野郎にはキレそうなるけどな←))

私はそんなこんなで息苦しくて半笑いくらいなんだけど、もちろん監督の意図は確実に笑わせようという見どころはいくつかある。そこだけ切り抜けば確かに可笑しい。でも彼女の真剣さを見せられているだけに哀しみもじわじわ来るのだ。盛大に笑わせるシーンもあって、そこは不覚にも吹いて、でもやっぱりその後にじわじわ哀くなった。

 

賢く器用に生きられず、かと言って自分の弱さを認めてしまいたくなくて威勢良く生きてるようで、結局その実ちっとも上向かない人生。外面が良くても内面は空虚で隣の芝生の瑞々しさばかりが気になって卑屈になって、そしてやっぱり上向かない人生。

どんな人生もそんなに簡単に上向かないし、楽しいばかりじゃないし、自分の欠点に悶えるほど苦しむことはあるだろう。

でもすぐそばにいるきょうだいの得意げな表情を見せられたら嫉妬は醜く深く、憎しみも苦しみも生々しく心に根を張ってしまうかもしれない。いや、そうなんだろう。

 

きょうだいの距離感は様々だ。しかし歳が近く同性となると、その生い立ちはやはり比較されがちなのも否定できない。親がいくら「公平に」と思っても、上の子は我慢させられる事が多くなるのも、末っ子が甘やかされるのも、誰に咎められる事じゃないと思う。

距離を取りたくても上手く行かない人もいるだろう。


考えてみたけど、私には兄に対する「嫉妬」はない。「羨望」はあるけど。それが嫉妬に変わりそうかと言えばそんなこともない。この歳まで感じたことがないのだから多分この先もないだろう。もともと柔和な兄の性格もあり喧嘩などの記憶もないし、高校を出てからの私たちの距離は非常に希薄だったから、負の感情に囚われることもなかった。かと言って情が希薄になってる訳でもない。

 

なんとなく、このブログに感想を上手くまとめられないのは、単にそういう理由で誰にも感情移入出来なかったからなのか、またはこの作品に深いメッセージ性とか意図が感じられなかったからか…(ん、ちゃんと泣いた、私涙腺バカだから)。

多分ラフな感じで、劇場の雰囲気同様軽いノリで観れば良かったのかも知んない。そしたら多分面白いんだと思う。

 

だいたい、きょうだいに限らず親族の中にひとりやふたり困ったひとがいるものだ。その言動に直接かかわらざるを得ない人にとってその関係はとても厄介で、うっかりすると双方の命に関わることになったりするよ、ていう感じかなぁ。

 

なんつーか、真面目過ぎたわ…

 

 

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エンドロールで「ドン・ジョンソン」の文字見た瞬間に立ち上がりそうになったし声も出そうなった…

あれかぁぁあああああ!!?

あの一瞬のインチキ外人監督の役かぁぁぁああああ!!トータル10秒くらい、顔なんか3秒も映ってないよね、カタカナ日本語のセリフが一言あったよね、

ああああああ、確認したくてググっても出てこないいいいいい!!!!←