映画「This is It!」を観るはずだった日
家人に起こされた。
「いつまで寝てるの?」
「んんん今日休みだよ」
「映画行くんじゃなかったの?」
「映画行くんじゃなかったの?」(こだま)
う
?
ぎゃーーーーーーーーーーーーーっ
約束11時ーーーーーーーーーっ
今、11時ーーーーーーーーーーっ
映画11時半から、予約席ーーーーーーーーーーーーっ
無理!!
絶対無理ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
踊るように着替えて、髪にドライヤーをあて、化粧水で顔を洗い、ノーメイク。カバンの中身を確かめる。チケットよし!
家人「スカート。裏返しじゃん?」
ぎょえーーーーーっ早く言えーーーーーーーーーっ
映画の頭がちょっと切れるかもしれないけど、間に合いそうだっ
(そう思ってる自分の頭の回路が切れてたな)
出動!
走るっ
走るっ走るっ
あ、なんか景色が白くてチカチカする…
あぁ、白いところが増えてきた…
遠くで声がする…
「…すか?ですか?大丈夫ですか?…大丈夫ですか?」
はっ
夢??
あー夢かも~~
いや、夢じゃないな…倒れたんだ。
気絶か…
って、
自分?気絶ーーーーっ?!
よく顔を出す、お店の前で派手に倒れたらしい
「大丈夫です!(いや、全然大丈夫じゃない)」
むくっ
立ち上がり、進む。
10mくらい進んで、またへたり込んでしまう。意識が再び遠のく…
また聞こえてくる
「大丈夫ですか?…大丈夫ですか?」
ふと顔を上げると、ダックスフンドと目が合う。
犬よ、わしは大丈夫じゃ。 でも立てない。
親切な人を顧みず、おもむろに携帯を取り出し、待たせている友人に電話する。
ろれつが回らない口で
「倒れちゃったの、間に合うかもしれないけど、でも行けないかもしれない」
友人「えぇぇっ?倒れちゃったの??」
自分「うん、でも行くから。でもダメかもしれない」
どっちなんだ、一体?
友人「どこにいるの?行くから!」
自分「ううん、あたし行く。でも行けないかも知れない」
行くつもりは満々なんだけど、どうやっても立てない状態だったわけで。でなきゃ、ダックスフンド連れた親切な人に心配されないよ。てゆうか、とにかく行ける状態じゃないわけだよ。
でもまだ映画に間に合う可能性がある…
でもこのままだと救急車を呼ばれてしまう!
…あぁ、どうなっちゃうんだ、自分!!せっかく取った予約席が台無しになってしまうじゃないかっ!←(ものすごく貧乏性)
再びむくっ
立ち上がり、親切な人の心配をなおざりにし、決意も新たに歩き出した。(走れないだけ)
み、みずが欲しい。ミミズじゃなくて、水が飲みたい。自動販売機で水を選定し購入。
「こんなことができるんだから、ものすごく大丈夫そうだ。」
自分でも不思議に思った。
電車に座って20分。貧血も動転も30%くらい回復した。
待たせた友人に「顔色悪いよ~!てゆうか真っ白だよ~!!」と言われたが、まずは映画館に。←(ここも貧乏性ね)
結局到着したのは開演から20分は過ぎていて、受付の人に相談したらどうやら少し偉い方ってのがお出ましになり、なんと、親切なことに別の日に振り替えてくれることに!
「ほんとはありえないんですけどね、あくまで特別ですから。」
「特別」だから、映画館の名前は伏せておく。
しかし、今日3人目の親切な人だーー。
だぁーーーー(T-T)
人間、捨てたもんじゃないねぇ。ありがたいねぇ。友人もさすが友人、待っててくれた。(事態がまったく伝らず、混乱に陥れただけだったが)
映画は別の日になったので、まずは化粧をしたいから、と、PLAZAへ。試供品を駆使してようやく外向きの顔に。
それからスタバでランチ。のんびりコーヒーを飲んで落ち着く。
あとはウィンドウショッピングをして回る。午前中のことが夢か幻の様な気がした。
あーだこーだと歩き回り、友人の帰ってからの報告によると、1万歩くらい歩いたらしい。
珍しく買い物もせず、帰った。
ほんとに夢だったのかと思うほど、ハチャメチャな1日だった。
寝坊してこんな大遅刻をしたのは、ほんとに夢の中でくらいで、現実では初めてだった。(もちろん道端で行き倒れたのも初めてだったが)
いろんな親切な人、ありがとう!!
※追記2016.11.15
このブログの引越し作業をしながら、病み切った当時の所業がつくづく情けなくつらい…。
あの時ご心配をしてくださったまあまあ近所の方々(顔見知りではないけど)に、きちんとお詫びやお礼を言ったかも覚えていない。
また家人も友人も自分の状態を知っておりつつ、「頭おかしい」とか「ウツは気持ちの問題」とあっけらかんと悪気なく言う人間たちであったため特別な心配もせず、こんなめちゃくちゃな1日になっている。
よく生き延びている、自分…
追記2017.1.20
ちゃんと行けました、ハイ。引越し完了