フジコ・ヘミングのピアノを聴いてきました
フジコ・ヘミングのピアノリサイタルに誘われて、体調不良&仕事で大幅に遅刻しつつも、ギリで「ラ・カンパネラ」に間に合った。
ピアノソロリサイタルだとばかり思っていたら、実はスペインの、世界的な奏者で編成されるオーケストラとの共演。
ふらふらでベートーベンの「皇帝」3楽章半ばに到着。
ホールには入ったけど他のお客様に迷惑となるのでその場で曲の終了まで座席には着かずに聴いていた。
ベートーベンとは、あんまりらしくないかも?と乏しい知識を巡らしていると、やはりどうも力もなく、迫力に欠ける。
うーん?晴れ晴れしいメロディーにどうも体も指も重そう…なんか変?
ようやく弾き終えて、何度目かの挨拶の後、彼女は話し出す。
「数日前に、パリの氷の上で滑って腰を強打しました…すごく痛くて痛くて…」
どぇーっ!?
あの体ですっ転んだとしたら、相当ダメージ来てそう。
まったくもって、演奏に力が入らないのも無理はなく…苦笑
けれど、その後、ショパンのエチュード(?)とリストの「ラ・カンパネラ」をいかにも彼女らしい、さりげなく弾き流すような、それでいて切なく歌い上げるような、でもやっぱり痛みと戦ってるような(笑)演奏を成し遂げた。
ヨカッタヨカッタ。
その後、ピアノは舞台の端に。
オーケストラのみの演奏となった。
モーツァルトが苦手って、珍しいかな。
あたしはあまり好きじゃないのだ。
でも、疲れた心と体にはいいのかな?規則正しく強すぎず。
アンコールの初めて聞く(タブン、スペインの曲だと思う)テンポよく、ホルンが心地よい曲に、笑顔になる。
ホルンて好き。
子供の頃は、なぜかベートーベンばかり弾かされた。好きじゃなかった。
ダダダダッ て感じ。
初めての本格的なソナタをやらされて、「この曲はなんていう意味かわかる?」
今なら「知るかっ」と毒づくところ、当時はキ真面目(バカ真面目?)、必死につぶやく。
「…あ、嵐…?」
「あら、知ってるのね」(かなり驚く先生)
まぐれ当たり。間違いなく先生以上に驚いた。
でもだって、もうとにかくダダダダダって…
アップライトとはいえピアノが揺れるほど鍵盤を叩かなきゃならないんだもの。
「豪雨でしょ、これどう考えても」って感じだったんだよ。
優しくてメロウで、切なくて、そういうのが弾きたかったんだ、ずっと。
専門学校に入って、ピアノの授業があった。
先生はあたしにシューマンと、そして憧れのドビュッシーを教えてくれた。
エライ難しかったけど、とにかく、ピアノを習うことができて初めて嬉しいと思った。
何度かピアノをまた習うかなと思うけどすぐに否定する。
「習う」とは「練習する」に他ならず。
「練習」しなければ、「習う」ことはかなわない。
無理っ
そんなわけで、すぐに楽譜を投げ捨てたくなる感じで、
ポロロンポロロンと
ピアノを鳴らしましょ。