ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「インシディアス」正統派オカルト映画だた…あらためて自分的オカルト・ホラー映画を考えてみた

アマゾンプライム体験期間終了期日に鑑賞終了。iPadで配信を観るようになってから、空いた時間にスッと物語に入れるようになった。気になってたのに観ないままだった映画もあっさり見つかったりするしすっごいいい。迷っていたけど課金が始まってもしばらく続けようと決めた。

 

さてこれは、ツイッターの新フォロワーさんから教えていただいた作品。ちょっとググってみたら製作陣に「ソウ」や「パラノーマル・アクティビティ」を手掛けた人たちが…なぜノーマークだったのか…と衝撃。

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こんなボケた画像のトレイラーしかないの…(呆)

よく出来た映画だったと思う。正統派。お金かかってるだろうなとは思いつつよく考えるとほぼスタジオ撮りだし、機材もCGも役者も衣装もそうでもないか…。ははは。

物語が難しくなくちゃんと怖い。残念なのは脅かし音響。もうドキドキさせてバーンッて音響で驚かせるっていう。勿体ないなぁと思った。そういうところが正統派的な所以なのかな、良くも悪くも古いタイプの恐怖映画なのかも。

死霊館シリーズぽいなぁと思ったら男優さんがかぶってた。

 

ホラーとかオカルトは昔から好きだし、ここ数年はレイトショーを楽しんでる。ただB級勢が圧倒的なこのジャンル、「劇場でお金と時間を使わなくても…」感と背中合わせ。一緒に映画を観る数人の知人も嫌がるジャンルで情報交換も出来ない。

「どんな映画が好き?」と問われてあらためて考えてみたら、このジャンル好きだわと再認識。でも限られた時間で劇場に行くのは大画面の迫力でこそ観たいハリウッドやアニメを優先してしまって、名作を見逃してきたんだなぁ。

 

2年ほど前に往年のオカルト映画「オーメン」シリーズの中古DVDセット(6巻?)を買った。もう買ったことだけで呪われちゃったんじゃない?と震えて盛り上がったりした。満を持して見始めたものの、なんとなく間延びして緊張が続かない…ええ?時代なんだろうか。それとも「ほんと怖かった!」という思い込みがすぎたのだろうか…。

なので「サスペリア」「エクソシスト」「悪魔の棲む家」「ポルターガイスト」など、70~80年代に一世を風靡したオカルト・ホラー映画の数々の中で震える記憶がある作品をあらためて観るのはちょっと避けようかとすら思ってる。

印象的な場面も、きっと今見ると「手作り感」がすごいんだろうな…そして記憶の中で曖昧になってたり他の作品の怖い場面がごっちゃになってたりして…

 

「ブレアウィッチ・プロジェクト」と「パラノーマル・アクティビティ

大人になってから「これは怖い…」と思ったやつ。

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あ…こっわ…

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(これ予告編ていうより「どんだけ怖いかPV」だな(笑)しかもこの時代で製作費135万円!「カメ止め」の半分以下!!)

こっわ、怖いわー。

 

ホラー・オカルトはリアルじゃないと知ってても「もしや…?」ていう狭間で観るのがいい。

実生活でも「お化け信じてる」かどうか、私はわりと曖昧だ。「いるかもしれないしいないかもしれない、いても科学的に証明できない」その辺りで受け止めてる。白黒つけない方が面白い。

 

実体がわからない

インシディアス」で言えば、夫婦たちを恐怖に陥れるのは、横切ったりカーテン越しに見える人影(のようなもの)、はっきりしない声(のようなもの)、勝手に開くドア、動くおもちゃ(列挙すると全部このジャンルの映画に出てくるやつ)…。間違いなく存在を感じるのに何なのか分からない、それらだ。霊媒師によってそれが「死者の魂」と「悪魔」と分かるとその姿や動きなど恐ろしさが加わるが、やはり実体を見ない内が一番怖い。たいていの人は未知のものが恐ろしいのだ。(箱の中味はなんだろな)

 

「ブレアウィッチ~」も肝心の正体がさっぱり分からないのが怖い。登場人物が怯え叫びながら慌ただしく動き回る音に恐怖が煽られる。ハッキリ言って何かが見つかった時の映像が何度巻き戻してみてもなんだか分からなくて、一層怖かった。(後で調べてそれが行方をくらました人物の血の付いた臼歯と髪だったと知る。結構怖いやんか。)

「パラノーマル~」は画像に正体が映らない。モノが動く、足跡が付く…しかし実体あるものとして映っているのは自分たちだけ。異常な行動が激化していく自分たちだけ…。

自分には確認できない、誰かが確実にその存在を感じて怯える姿、なんだか分からないけどとんでもなく恐ろしいモノを見た様子。核心を見せずに的確に恐怖感を煽る。

オカルト・ホラーの恐怖はその手腕がとても大事だなぁと思う。

 

可視化する前が一番怖い

「パラノーマル~」も「インシディアス」もその後何作も何作も続編などが出て来てるけど、やっぱり実体が出て来ると”なんだか分からなくてものすごく怖い”っていうのが半減する。もちろんその分物語が複雑になって、考えたり理解をして恐怖を味わうという要素が加わってくるけど、それはまた別のものになる気がする。

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こういう一瞬出されたらそりゃ「ぅぉっ!」て声出るけど。完全に出てきて輪郭も表情もはっきり見せてくれちゃったらそれ以上の怖さは、音とかアップとかの脅かし方法でしかないわけで。

これが誰に向かってどういう悪事をはたらくのか、とかいう話がくっついて来て別の恐怖が出て来る。

可視化されると恐怖の種類が変わってしまうということだ。だいたい最初の作品で遅かれ早かれそうなる。そのタイミングは難しい。あんまり早くに出すなら物語の構築がしっかりしていないとならない。後半にやっとという場合は続編ありきになり、その物語が複雑になって行くだけで最初の衝撃的な恐怖はもう見込めない。

”なんだか分からなくってすっげぇ怖いっ”という感覚はだから、オリジナルが一番だし、それ以上の恐怖はまた別のお話にするしかなくなってくる。だらだら続く続編はそれが巧くないと観てられない。

 

リアルなヤツもあるけど

たとえば「死霊館~エンフィールド事件」とか「エミリー・ローズ*1など、実際にあったお話の実写化で、当時の資料(写真や録音)が残っているというのもある。

これはこれで昔の話なので完全な可視化ではないものの、体験した本人のインタビューや実際に亡くなった少女がいるという事実がかえって想像力を刺激する。不完全な資料、解明しきれない事実というのがミソだ。

それでもエミリー・ローズが寮のベッドで横たわっている時に毛布の中を何かが顔に向かってせり上がってくるシーンはもう立ち上がって片目を塞いで観るくらいにはドッキドキもの。エンフィールド事件の顛末も微妙で不気味さは残る。

 

私にとっては「見えない何か」、この恐怖感に勝るものはないかもしれない。

 

 

 

ところでこれを書き続けながら「フッテージ」を観てました。

暗かったです、画面が(笑)暗すぎて何が映ってるかよく分かんないやつ。それなのに怖さは微妙。サソリとかヘビとかもなんかね、うん。

そして一番の残念は、子役に芝居をさせ過ぎ。もうこれに尽きました…。

*1:実際の名前はアンネリーゼ・ミシェル。この作品は悪魔祓いを敢行したものの結局は彼女が亡くなってしまうというものだ。悪魔祓いをした神父が罪を問われる裁判シーンがある。彼女は精神を病んだ心神喪失者だったのか、本当に悪魔に憑かれていたのか。現代の裁判にかけられるという、怖いだけでなくて異色で興味深い作品だ。(ググるといくらでも実際の音声や写真が見つかります!