ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「ドリーム」

何がドリームやねん!!

ていうくらいにありきたりな邦題で攻めて来たなー…
「DREAM」ていう黒人のミュージカル観たよなー…観たよー

 

bionic-giko.hatenablog.jp

 (「DREAM GIRLS」やったww)

 

あー、このシーンはもう今にも歌い出しそう、これは踊り出しそう…みたいないらん空想が働いてしまうのだよ、「ドリーム」なんて邦題のせいでな。

でもあながち酷いってこともないですけども原題の「Hidden Figures」の「隠された」というところが大事なのではという気もしつつ、意図的に隠されたのではなく「隠れていた」というだけなのか、「Figure」の意味するものは彼女たちの姿なのか、彼女たちが叩き出した数字や計算式のことなのか、ちょっと分かりにくい。

でもだからって「ドリーム」。大雑把すぎやろ!!
(邦題問題はどうしても弄りたいだけでした)

 


127分は短く感じる。

要所要所泣かせてくるし、ハラハラするし、悔しいし、ほっこりするしで忙しい。面白かった。それに登場人物がものすごく魅力的。かわいらしくって彼女たちが怒れば私も怒り、悲しめば泣き、喜べば笑う。ずーっとそんな感じで一緒に生きてる様な気持ちになるほどなのだ。

 

ただ私、これを書くに当たって確認したい名前や俳優さんなんかを再チェックしなきゃと、ついついインターネット情報に溺れてしまい…そして悲しみに沈んだ←

 

「史実との相違点」というwiki項目を読むと「嘘やろその辺ら、みんな映画の肝やん?!泣いたりハラハラしたとこやんーー!」ていう壮大な肩透かし感に襲われてしまった…。悲しい。悲しいよ。知った今、悲しすぎる。

皆さん気を付けて。

wikiなんか見ない方が幸せ。

開始早々スクリーン端に「事実に基づいた物語」と表示されるし散々宣伝でも使われた文言。最初からそんな謳い文句使わなきゃええやん、とか拗ねたくなる。別に嘘じゃないし間違いでもないでしょう。彼女たちは実際に活躍したし何より実在する人たち。このやり方は犯罪でもないし、映画なんだから面白かったならいいやないですか…てなんか思えないモヤモヤ。それくらい良く出来た映画だったと思う。こんなに地団駄踏んで悔しがるくらい、作中の人物に感情移入し、感動したんだから。


てことでこのお話の中で描かれる黒人に対する執拗で日常生活にはびこる子細な差別行為は彼女たちの職場には実際はなかったけど、社会にはあったことは事実。彼女たちだって、NASAから1歩外へ出たらそういう社会に晒されていただろう。

冒頭、エンストを起こしてパトカーに発見されるシーンからそれはもうひしひしと息苦しさを味わえる。

でも、活躍の裏であんなことはなかったしこんなこともなかったんだよね。…もはやなんていえばいいのかわからないほど複雑な気分だよ!あれは作り話だったの?あれもあこれも?みたいな、見所・泣き所がみんな史実との相違点に列挙されてて、私ももうどうしていいのかわかんないんだよ!

彼女たちの偉大さはもう万歳して讃えたいんだけど、そこに隠された何がその見所なのか分かんなくなっちゃうやん…

 

なにより一番に、主人公の感情が爆発するシーンに感情移入したのは、あの執拗な差別社会に存在していたその象徴だったはずのトイレの件(くだり)は実際のところ当時のNASAでは…

ぐぬぅぅうう

 

隠されたものってなんだろう。

…なんだろう。NASAでの彼女たちの活躍はいつどうやって隠されてたんだ。あのエピソードが作り話なら、何が隠れてるって言うんだろうか。勘弁してよ、こんな煽り方ある?肝心なところが分かりにくい。

分かるよ、彼女たちではなくてほかの黒人たちはみんなそんな目に遭っていたし、あれほど理解のある人たちにも恵まれることなく、反発すれば命すら危うい時代だった、分かる、分かるよ。

白人側の心の中に隠れた「差別意識」についても勿論ドキッとする会話があるよ。気付いたよ。本人が気付かずに抱いているその意識こそ「隠れている」もしくは「隠されている」ものなんだよね。差別意識が彼女たちの素晴らしい計算結果を「隠してしまう」というシーンも本当に多かった。

物語はひとつひとつのそういう小さな危険を掬うように進む。深追いしないけど、差別意識が働いてることによって真実の数字を取りこぼしてしまいそうになることがどれほど多いか。

 

私は映画を観に来たんだよね。ああ、分からない。あのエピソードがなかったら、あれもこれもなかったら、120分楽しめたか分からない。すごく面白かった!!って言えたかな?

 

 

言えるわ…面白かった。

事実ではないエピソードが一番感動したって、別に映画自体の面白さが減るわけじゃない。現実にあったことだけが淡々と描かれていたらなんて、それならドキュメンタリー観てこいやって話。

私は127分間、気持ちをめちゃくちゃに振り回されて映画に没頭したし、彼女たちの書き出す数式の姿に見とれ感動した。白人の中で奮闘する彼女の周囲の緊張した空気を息を呑んで観てた。

 

今作でスポットを当てた3人の女優さんたちがとっても魅力的だった。女性ならではの慈悲深く我慢強く凛々しく明るくかわいらしい姿に思わず口元が緩んでしまう。そして数字を前にした時のクールさ。理系脳が死んでいる私には羨望しかなかった。かっちょえええんんだぁ。

 

 

紆余曲折を経て、「観て良かった」に落ち着く。ふーーーーーーーー

そういえば、劇中に流れてた音楽って、サントラ買えば聞けるのかな?当時の超ノリノリのR&Bなんだよね。探す探す…f:id:bionic_giko:20171010140537j:image