映画「ハートストーン」
久しぶりの恵比寿ガーデンプレイス。
しっとりとした雨の夜、小洒落たシアター行ってきました。相変わらず、犬散歩させてる人いますね…(写してないですよ)
心の石
石の心
この場合、どっちなのかなぁ…うーん、誰か氏ーー!英語力をーーー!!…あ、監督の造語だそうです(胸をなでおろす)。ふー…
私なら、"柔らかく包むものと堅固に傷つけてくるもの"、そんな風に解釈するかな。
序盤…いや中盤まで何も起こらなすぎるのと、まっったく未知で何も想像や期待することも出来ず、正直睡魔に負けてました。
何も起こらないとかそんな映画があるかという話だけど、10代と思わしき…(13~15歳くらいなのかなぁ?この国には学校ないんかいな)とにかく少年少女が入り乱れて、触るの触らないのというエロティシズム寸前雰囲気満載の湿っぽく熱っぽく潤みつつ…みたいなシーンの連続です。私の様な経験未熟者にはお伝え出来ないというより理解できず、完全にほおぼろげ睡眠時間でした。
苦手なんですよー、「性愛の目覚め」的なやつ…
ただちょいちょい、いやのっけから来る「生き物が傷つけられるシーン」が強いです。自然の摂理なのか人の悪意なのか、チカラのないものへの無為な傷めつけによるシーン…何かの示唆なのかもと一生懸命目を背けず観続けてるのがキツイ。でも不思議と泣かないんです。胸元に石が詰まった様な気持ちと画面に吹き付けている冷たく乾いた風のせいなのか。
カサゴは最初はぐっちゃんぐっちゃんに踏みつけられて海に投げ捨てられるんだけれど、ラストシーンでは海の中に投げ込まれた後をカメラが追います。しばらく裏返りながら沈みゆくものの、視界の中でふぃっと息を吹き返し泳いで画面から消えていきます。
この瞬間に、醜く見え無為に傷めつけられる命も生きるチャンスがあり泳ぐ場所がある事に、ふぅと息を吐く、観ていた自分も呼吸を思い出す気持ちになります。そう、呼吸を忘れていた様な気がします。「ああ、生きてた…!」とほっとするのです。
あれほどに苦しげに息をしていたソールとクリスティアンを観続けていたのに。
広大な土地と海と空と風との間に住む人間の、狭く閉ざされた関係性と息苦しさ。アイスランドという馴染みのない国や土地柄について何も予備知識なく行ったので「寒い」と「ニット可愛い」がやたら頭に浮かびました。ごめんなさいほんとに。
耳慣れない言葉にも難儀。サントラは記憶にないです。カモメや馬の鳴き声、風の音…
昔観たモンゴルの暮らしを淡々と描いた作品を思い出しました。命が自然の中で自然に育まれ失われて行く中で、人は人の暮らしを何に逆らう事なく続けていく映画でした。愛する家畜の弔い、学ぶための離別…あの時は泣いたっけかなぁ…*1
泣きの判定はどうでもいいんですけどね。
こんな狭いからこそ異質なものが疎まれる。こんなに広大な自然の中に生きるのにこれほど狭い事に束縛される人の心。それもまた人の自然なら、どこまで行っても偏見も虐めもなくな…あぅぅぅ。
もう考えるのはやめよう。
私はこの作品を美しいとか優しいとかキラキラした言葉では語れないし、まさに「柔らかく堅固なもの」に全身を包まれて痛みを感じていた気がしています。
公式サイト内にある予告編とか紹介されている数々のコメント、綺麗に語られすぎてて好きじゃないですけど、監督の話から内容に関することは充実してますので良ければ、という意味で貼っておきます。