ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画?「みうらじゅん&いとうせいこう 20th Anniversary ザ・スライドショーがやってくる」

これまでの彼らの超絶バカバカしいスライドショーライブのまとめ的な映画を観てきました。

「スライドショー」とはなんぞや?

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みうらじゅんが勝手に惹きつけられたものを撮影してきた膨大な写真をスライドにしてでっかいスクリーンに映して見せて、それをいとうせいこうがツッコんでいくっていうものです。

ツアーをするくらいやってます。多分盛況です。20年もやってるそうです。

もうそれ以上の説明はないです。

「なぜこれを撮った?」

「だって許せないじゃないですか」

「まだこれ撮るのか!」

「もうこれはどこまで?って気になるじゃないですか」

ていう感じのやり取りが延々続きます。

 

10歳くらい下の友達とだけど、ちょうどいい具合にMJ(マイケル・ジャクソンじゃない)や「見仏記」読んでたり、「MJ気になってる具合がほぼ同じやん?」てことで。

笑いのツボが同じっていうのがミソ。

ツボミソ。

実は映画館でこういうのん観るの初めてかもです。

アーチストのライブフィルムとか。「いやーライブはライブだからいいのであって、んー映画館でフィルム観てどうなのよ?」て思ってました。

 

なにせ「みうらじゅんいとうせいこう」だもの。

話しだけでも絶対面白いんですよ。もー笑った笑った。ヒィヒィしました。

 

20年前から最新のものまで頭おかしい度合いが想像を遥かに超えてて、もう異常に一貫したバカバカしさ。散々笑ったネタも初見のネタも。あの人の笑いは劣化も進化もしないんですよね。

 

あー…笑いの説明ほど虚しいものってないですよね。

(大きい声で書かせてもらいました。つまりこの映画を観た面白さは絶対に文字で伝わらないので、もう読まなくてもいい話だってことです)

みうらじゅんって何してる人?」とかいう方はとりあえずコラム1本でも、いやもうググって発言のひとつでも読みましょう。

もしそれでも「キモい」なら多分それ以上いくら読んでも絶対に分からないと思われるので諦めましょう。勿体ないけど。勿体ないけど仕方ない。

 

一生に一度、人はインドまたはエジプトに呼ばれるとか言う話と同じで、MJには呼ばれてないんだと思います。(神ではないけど)

ただこの「いとうせいこう」さんなんですけど真面目です。真面目すぎます。

みうらといとうそれぞれこれまでの関係性やライブに臨んできた気持ち、作り込みについて語るんです。スライドショーの合間合間に。語りが入るんですよ。

これは「スライドショー」についての映画なんで不思議じゃないんですけどね。

 

「みうらさんはこうなんで、僕はこうでなきゃ」とか「いとうさんはあれでああだからぼく気を遣ってて」とか言われると不安になるんです。

もしかして真面目?真面目に笑いを演出してるの?

だとしたら猛烈に悲しい。

 

みうらじゅんの着眼点から発想の広がりや更には深み、のめりこみ…その異常とも言える変態性は「素」だからこその味わいがあると思うからです。みうらじゅんが「素」でやってる。ここがすごくいいんですよ。あれらは「考案」するアイデアや活動ではないはずと。

考えて出て来るならそれこそAIにも出来るじゃないですか。いやあんなんがAIに出来たらそれこそ世界は終わりだと思います。

しつっこいけど、あの世界はみうらじゅんにしか見いだせないし語れない。なんでもない日常とか風景とか「なんでもない」ものでしかない。

いとうせいこうはスライドを見て突っ込む。一般の人が「ええっ?」て思うところを的確に言葉にしてみうらじゅんを撃つ。

撃たれるほどみうらじゅんは喜ぶらしいです。そして撃ちこまれた弾を更なる深みや新たな世界を求める原動力にしてるみたいです。よし、次も撮ってこなきゃ!みたいな。

 

 「本当はこんなことおかしいって分かってるんですよ」

お互いそう言うけど、そんなこと当たり前です。じゃなきゃまともに社会人として生きてられないと思います。

でも、みうらさんが後半加速度つけて我々一般には分からない奇妙な感覚に突入して饒舌になり、もはや何を言ってるのか分からない状態に。

あの時みうらさんは「自分が変なこと言い出した」とは気付いてないと思います。

 

やっぱり「本物だ」

そこで安心しました。この人は真の「変態」だ。そう思いました。家族やいとうせいこうや、その他色々な人がみうらじゅんを人間として暮らせる状態にしてるんだろうと。

みうらさんは、死んだ時もいとうせいこうにツッコまれたいって言ってました。本当に棺桶に入ったスライド出してましたよね。もうキスをしても身体の関係になってもいいっていうくらい相思相愛なんですって。出逢った時からもうそういう気持ちなんですって。結婚してもいいじゃないかって。出逢った瞬間からお互いに、とかまあその辺は「どうぞお好きに」ですわ。

そこまでの関係だからこそふたりのショーが毎回完成されているってことらしいです。そこは頷けます。だからこその優しいバカな笑いなの。平和そのもの。

愛する人が「バカじゃないの?!」って笑ってますからね。みんなも遠慮なく笑える。

 

何度も言いますが、みうらじゅんのコレクションを「なるほど」と受け止めつつ「お前おかしいよ」て突っ込むというやりとりがなかったら、みうらじゅんはただの変態です。

ただの変態っていう職業はないです(と思います。)

 

最近たまにテレビにコメンテーターなんかで言葉を発すると、さすがのMCも笑っていいのかいやもう笑ってるしかなくて、これはお茶の間では無理だなと。

いとうせいこうが「なるほど」と捕球をしてからでないと世には伝わらないんだなということが良くわかる映画でした。

 

とにかく面白いんですよ。あの人たちのやってること。

唯一無二。

久しぶりに腹抱えて笑いました、映画館で。たまにはいいです。しかも一人じゃなくて共有出来る人とっていうのが。ぼっちじゃなくて良かったとつくづく思えます。

 

友情大事。老いたらほんと大事。