ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「The Beatles~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」

9月最終レディースデイに行ってきました。

youtu.be


ネタバレのつもりではないけど、観たまま思ったことを綴っているとそんな感じになっているかもしれない。
でも、これを観る人はみんなご存知のことばかりだと思うので気にせず書いてみました。

2時間超の映画だけれど、ラストはサプライズプレゼントみたいで本当に本当に楽しかった。

 

ドキュメンタリー部分についても、終盤はファンの方たちにとってはもう語るに落ちるということなのだろうし
あんまりつらくて仕方なくてよく覚えてないのです。
なので、尻切れみたいなことになりました(笑)

 

最後まで、彼らの拗れた関係やヨーコオノとか、

そういったスキャンダラスな内容が一切なかったことは自分にとっては救いでした。

ファンではなかった自分にはそういったイメージが強かったので、この映画がそのすべてを払しょくしてくれました。


ていうのが一番の感想かもしれないです(笑)


以下は自分の長い長い備忘録。

 

 

 

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予告編を観て胸がざわめいた。


予感とかそういう分かりやすいものではなく、ただ楽しそうに作曲し歌い演奏する、走り回る4人に心がざわめいて、どうしても観ようと思った。
これを逃したら多分一生向き合わないで終わってたと思う。
正直、自分の無関心さに不安があったから、それも確かめたかった。

 

もともと自分がこの世に生まれ落ちる前に世界に旋風を巻き起こし、洟を垂らして無意識で生きてる間に伝説になっていたのが、自分にとっての「Beatles」だった。


でも映像に延々と流れる楽曲は、全て知ってた。
歌詞はともかくイントロで分かるものから、サビに入って「ああこれ」というものまで、知らない曲がなかった。


ああ、あとなんだか昼間にテレビで彼らの映画を観た記憶はある。
日本語吹き替えで「リンゴー!リンゴー!おーいっミカーン!」て、指輪の外れないリンゴの話だった。そこだけすごく覚えてる。
子供だったからだろうな(笑)
本人たちは「撮影の間中、ラリッてた」ってヤツだったんだね(笑)


音楽が好きでも、全然興味が湧かなかった。存在を知ってるだけ。
20歳になって、ようやくポール来日ライヴに行く事になり、誘ってくれた職場の先輩からほぼアルバムを網羅してダビングしてもらった。(カセットテープにだよ)
でも実際のところはそんなに一生懸命に聴いてなかった。
(実際来日したのはビートルズじゃなくってポールだったんだし)

 

今思えば、中学生から聴いていたYMOが数曲をカバーしていて、自分の耳にはきっちり届いていたのに。
ラジオで誰かがカバーしてた「アクロスザユニバース」に心酔し、
日本語の歌詞を勝手に付けて歌っていたら洋楽好きの友達に「それ、ジョンレノンの曲」と言われて腰を抜かしたことも。

自分にはそうやって彼らの曲が何処かしらに引っ掛かってくっついてたんだなぁ。

 


どの楽曲も何度何処で聞いたかもしれないのに、新鮮だ、全部違う、
鑑賞しながら「これって"ビートルズ"っていうジャンルなんだ、こんなミュージシャンているかな?」と思った。

突然現れた大スターだと思っていたけどそれも間違いだった。
もっとヒリヒリするような4人だと思っていたのも全く違った。

 

世界中が熱狂し、注目してる、もはや監視やつきまとっていたような異常な事態なのに、
彼らは缶詰にされたホテルの一室で、動物の子供たちみたいに無邪気にくっついて戯れてはしゃぎ踊り歌ってた。
外界の騒ぎなんて関係ないみたいに、4人だけの世界を味わってた。

 


「どんな事も4人だったから乗り越えられた。1人なら不可能だった。エルビスにも仲間がいたら。」
自分は尾崎豊をずっと思ってた。
(別にエルビスにも尾崎にもビートルズにすらのめり込んでなかったけど)
分かち合える仲間がいたらもっと乗り越えられる事があったろうなぁって。


彼らはただただ純粋に音楽がやりたかった。
勿論世界中の人たちに受け入れられて喜んでいたけど、ジョンとポールの作る音楽を4人で共有していることの方が大事に見えた。


実際に、彼らの演奏や歌唱のクオリティは物凄かった。

思っていたよりもずっと、ずっとだ。


耳も脳も壊れそうな嬌声の中で、現在の様な立派なPA機材も人材もなく
お互いの声どころか楽器の音すら聞こえない舞台の上で、完璧なシンクロを見せてた。
圧巻のシーンは何度も訪れて、その度に前のめってしまった。


でも彼らが次第に4人の中だけでなく外側の世界を冷静に見たり、成長して来るにつれ
見えない何かが彼らを圧していくのを見ていると、胸が潰れるような破裂してしまうような気持ちになった。
(息苦しさなのか興奮なのか分からなくて、安定剤を2投した←まあまあ序盤からだけど)

 

途中から涙が溢れて止まらなかった。
ライヴの舞台で楽しそうな彼らを見て笑うのに、涙が出てきた。

 

気を失うほど絶叫する観客達は何を求めてたんだろうか。
音楽を聴いてる?彼らの歌を?言葉を?とてもそんな風には見えなかった。

 

ウーピーゴールドバーグやシガニーウィーバーのインタビューにも感動したけど
あの狂気の沙汰を見ると、何が何だか分からなくなってしまう。

 

きっと彼らもそうだったんだ。


「僕らはキリストより有名だ」とジョンが発したことで全てが狂い始める。

10代の少年2人が寂しさから逃げ出すように作った音楽の世界が
永遠に続くわけじゃないとしても

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