ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「ルイの9番目の人生」

 

子どものほのぼの映画が嫌いなわけではないんだけど、ミステリー(*1)だしそういうのはごめんだなぁと思いながら鑑賞。

結果、そういうんでなかったしなかなか面白かったので〇。

公式サイトはあんまり参考にしない方がいい気がするので、予告編だけ。

youtu.be

 

主人公のルイは「変わっている」と言うより捻くれ屋で屁理屈屋でこまっしゃくれもんで…いや「こまっしゃくれ」て実際どう言う意味だっけ?ってググったらなかなか当たりだった。

ルイは完全に「こまっしゃくれもん」だ。いわゆる「勘のいい子供は嫌いだよ」みたいな。

 

母親に連れて行かれたセラピスト(精神科医)のペレーズに対してもとてつもなく失礼だ。観ていてなんだか不快になる。たとえペレーズがでっぷりと太っていて椅子をキーキー言わせて貧乏ゆすりをし、ご飯の食べ方が汚らしくとも、それをズケズケ言葉にするのは普通じゃない。ルイは立て板に水の如くすらすらとdisる(笑)。

でもペレーズはそんなルイの無礼な物言いに当然ながら怯むことなく、そしてルイ自身を否定したり責めたりもせず、話を引き出して行く。日を追うごとにルイが心を開いているのが伝わってきて、セラピーのシーンがどんどん面白くなっていた。

 

それは突然あっけなく終わってしまうのだけど。

 

 

両親ともに怪しい。

母ちゃんはメンタル不安定だし、父ちゃんは酒好きの乱暴者っぽい(ぽいってだけでそこをやたら誇張して表現してるんだけど)。

そして昏睡状態に陥ったルイを診る昏睡専門医パスカルが冗談みたいに頭(身体か!)が緩い。妻と上手く行ってないとしても緩い。尚、劇中パスカルの初登場は「TED」でのスピーチシーン(笑)。著名な専門家という植え付けをされるので、余計にその行動の軽さに半笑いになってしまった。これ、監督の術にハマってるのかしら…?

 

担ぎ込まれた病院で緊急処置をした医師はパスカルと親しいらしく、この人もなんか人としていい感じがしない。事件に直接関係ないとは分かってるけどイラッとする。

担当刑事の女性は過ぎるほど下品。美人でスタイルもいいんだけど、口が悪い。それが嫌ってことではないけど…いい気分じゃない。

後半登場する、父ちゃんの母ちゃん(ルイの祖母)も、病院で揉め事起こす様な粗野な人物として描かれてる。

 

要するに「ロクな大人が出てこんな!」ていうことだな。(書いてて気付いた)

 

進んで行くうちにだいたい察しは付いてくる。

唐突に現れる怪物(ちょっとファンタジー要素が挿入される感じ)にはギョッとしたけど、なるほどその正体もなんとなく想像出来てくる。公式サイトのあらすじではものすごい謎が渦巻いているように書かれてるけど、私にはミステリー(じゃあなかったけどw)としては浅いなぁって感じた。登場人物は少ないし謎の正体についての予想はそれほど難くない。「衝撃のラスト9分!」ていう文言も「ん?9分てどこからだろ?」てなる。そんな衝撃だったかなっていう…

 

ただ揃いも揃って出来損ないの大人たちのあまりにもバカバカしい行動や、頭のいいルイの喋りには興味がそそられて、飽きずに観ていられた。ラストのルイの決断にはちょっとハラハラ。そして回想の父ちゃんとのくだりではうるっとしたり(でも涙腺バカは発動しなかったんだなこれが(笑))。

 

子供ながらに深い考察、身の回りの状況を把握して感じていることを流暢に語るルイの長台詞は見事。それを観に行くだけでもいいかも。そしてルイなりに理解しているルールをもう一度きちんと聞きたい気もする。どのくらい筋が通ってるのか、実はちょっと分からなかった…

 

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*1:あ、「ラスト9分。”彼”の口から語られる驚愕の真実に心揺さぶられる、衝撃の心理サスペンス。」だって。…ミステリーじゃないのか、サスペンスなのか!あーーーははははは、ハラハラしたよ、うん、ちゃんとドキドキした!