ぎこの観たもの聴いたもの

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

愛するものを失うときに思ってたこと。心残りや後悔のこと。(閲覧注意)

閲覧注意としたけど、ショッキングな画像はありません。まるで生きているかのような美しく愛らしい亡骸は撮影しましたがネットに掲げる気にはなりませんでしたので。

猫が死に至るまでの詳細を記載しています。苦手な方、経験のある方でまだ傷が癒えていない方には酷かと思います。覚悟のできない方は読まない方が良いと思います。

 

 

 

命が失われゆくその場にいて、その衝撃と悲しみとでいっぱいになって号泣しながら声を上げていた。

その時何を思ってたか、何をしてたか、何が出来たか、何をしなかったか…。そういうことで自分を責めたり悔いたりしそうなので、文字にしてみることにした。

 

 

私は、人も含めて動物の身体、特に生死や病変や傷に興味がある人間だ。(同僚さんが常々「いつかぎこちゃんは事件を起こす」と真面目に心配してくれるけど、この歳まで分別ついてるわけで、その辺は「変わり者」で済ませてほしいよね。)

 

猫の身体がどんな変化を起こしているのか、何が呼吸を浅くさせているのか、総合的客観的に見ても状況はどんどん悪化しているように見えるけれど、具体的にそうさせているのは一体何なのか、それが分かれば回復させる手立てがあるのか、私に出来ることはあるのか、それよりやっぱり、今この瞬間に猫の体内で何が起こってこの様なことになっているのか…頭の三分の一くらいはこんな感じだった。

 

「ごめんね」「ありがとうね」「お願いだから逝かないで」「ねぇ嘘でしょう」「ねぇこれって本当に起こってることなの?」「どうしたらいいの?どうしよう…」

 

※「ねぇどこが苦しいの?」

 

涙腺バカだから未だにこんなこと書いてて泣くんだけど、この時この最後の「この身体のどこがどうなって猫を苦しめているのか?」という疑問に必ず行き着いてしまっていた。おんおんと声を上げて泣いてはふと冷静にその身体を見つめた。

 

例えば巨大化していた腎臓の癌が悪液質を起こしていたとして、各内臓にダメージがあったとして、いやそれなら救急外来の検査で分かったはず。医師はそんな指摘はしなかった。「多分痛みによるショック状態なので補液で痛み止めも注入するからしばらくすれば落ち着くはず」という見立てだったのだ。私もそれを疑わなかった(もとより疑う理由はないし)。

帰ってからの猫は、ふらつきながらもどうにか歩いてクローゼットへ身を潜めようとした。しかし気付くとチカラが抜けた様にへたり込み、私が「もう今夜は超せない!」と直感したのは、涎を垂らして浅く速い呼吸をしていたからだ。明らかに「痛みによるショック状態」を悪い方へ超えた症状だろうと思った。じゃあこの一連の流れは何が発端になった何なのだろう。

 

浅く速いとはいえ等間隔の呼吸があり、たまに咳き込む様に深い呼吸が入る。体勢を変えようとするのも、呼吸を楽にするがため、生きるための不随意運動の様な気がした。そう、あの時意識はもうなかったと思う。声を掛けても撫でても目を合わせようとしても一切反応しなかった。あればもっと甘えてくれていた筈だ。意識はもうなかった。目を見開き、ひたすら酸素を取り入れるべく口を開けていた。心音を聞きたくて何度が身体に耳を当てたがそれも聞き取れなかった。

意識があれば、声を掛ければ返事をするし、目を合わせるし、身体を寄せ合えばごろごろと喉を鳴らす猫だったんだから。それでも看取らなければ、この苦しみの果てを見届けなければと思っていた。長い時間だった。

 

失禁をした時に何かで見た動物の最後の話を思い出してもう間もなくだと覚悟した。拭いてあげていると何度か手脚をバタつかせる痙攣をした。目は驚いた様に見開いている。泣きじゃくる私を見ていない瞳だった。

呼吸は気付くと止まっていた。

 

あっけなかった。2時間以上の闘いの最期はあまりにもあっけなかった。嘘でしょう?と思いつつ話しかけつつ、長く苦しんだなぁと思った。そうして少しもその苦しみを和らげてあげられなかった無力な自分で申し訳ないと思ってまた泣きながら謝っていた。

 

 

例えばそれが心不全や呼吸不全だったとして、自分に何が出来たろう。心臓マッサージ?人工呼吸?その状態から意識を持ち直したとして、それでどうする?

 

そうしてやっと「何も出来ることはなかった」と思える。

ああ書いてきて良かった。

ずっと、あの時私には何かできたのじゃないかと心が残っていた。でももう病院へ連れて行く状態ではなかった。猫も私も。 呼吸があった時に抱こうとしたことも強く拒否していた…。もう、猫自身の生きる闘いであって、私が介入することは不可能だった。選択肢はなかった。

涎を拭きとりながらただ声を掛け、頭を抱き、身体を撫でた。

 

それしか自分に出来ることはなかったし、していなければどうにかなってしまいそうだった。

 

今思えば、猫が意識を失う前に本当は抱き上げたかった。しかし猫自身の思いで行動している以上、例えば自ら身を隠したいのであればそうさせてあげようと思っていた。…その時クローゼットのそばにいて、手を伸ばして撫でてあげていたら「ごろごろ」が聞けたのだろうか。そんなことももう遅い。

 

心残りはなくなったりしない。実際あの時はそれしかできなかったことが分かっても、それは心残りだ。私の帰りを待ち、鳴き声を上げてきた猫よ。あの時すぐに病院へ連れて行く準備に取り掛かってしまった。まず抱きしめて上げたらよかった。それも心残りだ。

 

そうだ、あのタイミングだった。

 

猫は私の帰りを待っていた。死ぬなんて思わず、ただいつもの様に私の帰りを玄関で待っていた。きっとそうだ。やっとわかった。そうだ。それなのに本当にもう間に合わないんだ。

 

後悔や心残りのない別れなどないと知っている。何をしてもしなくても選択を間違えたのではと考える。現に間違えたとも思う。でも正解が何だったのかは永遠に分からない。(以前にも書いたけど、容態が急変する前の生活についてはそれなりに考えて過ごしていたので「後悔」というのはない。)

 

それでも、あの時はそれしか出来なかったと思えたことは、私には救いだ。

 

そして微かに、小さな希望みたいに思い出した。聞いたことのない鳴き声を出した猫を私は撫でた。身体を、頭を撫でた。そして体温の低さを感じて慌てて抱き寄せようとしたけど拒否された。だから何度も撫でた。「これから何をすべきか」を頭をフル回転させながら。

そうだ、私はちゃんと触れてた。そうだったらいいのにという願望じゃなくて、私はちゃんと触れていた…

 

 

永遠に終わらない、心残りを思い続けるだろう。それともいつか時間に埋もれて行くのだろうか…。

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