映画「スウィート17モンスター」
行きしなの電車の中で以前一緒に働いていた方の訃報を聞かされました。私は短いお付き合いだったし言葉を交わしたのも僅かだったけれど、あれこれ思い出話をしながらふっと友人の瞳が潤んだのを見て私も思わず胸が詰まりました。
(今思ったけどあれ、アクビだった?)
ついついここでその日の涙腺が緩みました。(常時)
これもまぁ特にそんな泣くような映画ではなかったんですけど。
久しぶりの渋谷。東京では2館しか上映がない!そりゃもうGWの渋谷って…つらいっ!!
でも頑張ってよかったです。すごく良い映画でした。
ティーンエイジャーとはかくも"メンドくさい生き物"と自らを以て知ってはいるものの、文化の違いのせいか身をよじるほどの恥ずかしみはなく、とはいえ苦笑全開でした。
分かる!分かるよ!て、いやでもセックスへのその意気込みとかはサッパリわかんねぇわ(笑)
私の時代に、見えない向こう側に恐ろしい崖があるインターネットなんてものがなくてほんと良かった。
あの頃のトラップっつったら街のそこここにある赤いポスト。そこにたどり着くまでに便箋とか封筒とか切手とか、その前には誤字のない文字とか文章とか…とにかくそんな簡単に地雷は踏めない平和で優しい世界でした。
(でもそんな時代でもまあまあ足の指2~3本くらいは失ってるかも。若さってそういうもの…)
初っ端でいきなり、主人公が昼休み中の先生の前にどかっと座ると開口一番言い放った唐突な宣言。
お、おおぅ…()
呆気に取られる先生と我ら観客。
まくし立てる彼女の話をぽかんと口を開けて聞いてる。
でもある程度聞き終えた先生の飄々とした態度にこちらはまたぽかん。全然動じないどころか饒舌な皮肉で返します。
重要人物感すごい。私は既にそこで先生に惚れてました。(泣きやすく惚れやすい)
主人公がことごとく憎む兄ちゃんは何一つ悪くない。
親友も悪いどころか良い子すぎて、むしろ非の打ち所がなさすぎて、返ってツライ気持ちになるのも分かる。そもそも出会いで主人公自ら「天使キター」て言ってましたし。
母ちゃんも全然立派な母親だしとても頑張ってて、とても責められる様な事案はない訳です。
じゃあ主人公は何が気に入らんのか?
じゃなくて「だから気に入らん」!分かる。自分の胸に聞けば分かる。
だいたいみんな偉すぎるよ。そんな風にいられないし自分!だからってどーすりゃいいのか分からないのは、全てにおいて自分がしょーもないつまんない存在だからなんでしょ?
傍目には誰かに上手く合わせられないだけなんだけど「人と違うことこそがカッコいいんだ」とか…
「いやどうせあたしは出来損ないですし」
てなっちゃうよ。色々努力するより自分を見下して諦めて拗ねてる方が楽だもんね。
是 所 謂 劣 等 感 也。
劣等感てのは始末におえない。そして結構大人になっても逃れられない。
そこに来て、トラップがいっぱい。(大事なことなので2回…)
イケメンでミステリアスな男子のメアドが分かっちゃうし、メールも送れちゃう。
中身サッパリ分かんないけど、そのミステリアスな雰囲気に夢中になってたら嫌なこと忘れてむしろワクワクするもん。
でも端的に言ってそれただの地雷ですけどね。(トラップとか生易しくないよ、命持ってかれるよ…)
冒頭の先生への唐突な宣言に戻ります。
この先生とのやりとりがこの作品のすごくいいシーンだし観てる方にもなんかセラピー感。
やっぱりほんとこの先生好き
悪い人が出てこない映画はしあわせ。リアリティが強いお話こそ、その設定には救われます。
(ミステリアスイケメンはただのバカだから悪い人認定不可)
ハリウッドの派手な作品ももちろん好き。
でも前回観た「マイビューティフルガーデン」同様、今回もテイストは違えどじんわり胸に沁みる映画。じんわり系が好きなのはもともとかもしれないけど、歳のせいもあるやな…
壮大な未来のお話とかあり得ないアクションを見せるのも、誰もが分かる痛気持ちいいとこを突くのも、映画の面白さだなと実感。
巨大スクリーンならではの大作をきっちり楽しみつつも、コソッと上映されるこんな作品にもアンテナ張っておきたいなぁとあらためて思った次第です、はい。