ぎこの観たもの聴いたもの

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「虐殺器官」

前半、やけに冗長だった気がする…。

 

というのも私、

”人工筋肉のポッド”
それだけがどんな形状・質感で描かれるのか、どんなものなのか、本当にそればかりに期待し過ぎていた。

なんなら最初のシーンはそれでしょ?くらいに思ってた(なんでや)。

 

なのでいきなり張りつめた軍法会議みたいなシーンに「?」てなっちゃって、すぐに遡りのシーンになって色々頭に入らないまま。

結構長い説明的なシーンが続いておった…気がする。大事なはずなのに全然記憶とリンクしてくれない。

 

原作を読んだ時にはもちろん激しい衝撃に見舞われたし、「人間の意識の罪深さ」を改めて突きつけられて、恐ろしくて悲しくて落ち込んでしまうほどだったのに。

bionic-giko.hatenablog.jp

 

生活から軍事にかかる様々な未来のアイテムに興味が持っていかれてしまって、そのまま読後印象も頭の中で落ち込みからワクワクに書き換えられてしまったのかもしれない。

 

それこそ「脳にマスキング」がかかったように。

 

私は「ピザとスタバ」の世界で『実写化してほしい!この世界観は日本の制作じゃ無理だからハリウッドに!!』という気持ちに執着してた。

 

アニメ化の話を聞いた時はかなりガッカリしたし、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」が公開にされた時は、『なんでこれなのだなんで「虐殺器官」でないのだ』と地団駄を踏んだ。

更に「ハーモニー」のキャラクターデザインが公開された時はなんかもう『アニメだもんな』という諦めに色々な期待は塗りつぶされていくみたいだった。

 

 

もうこれ、一度原作に立ち返るべきだろうな、私。

でも最近全然本が読めないモードなのでなんならもう一度劇場に行こうかとすら思う(これは私には珍しい現象)。

 

この作品の公開に先立って、伊藤計劃氏のその後の作品「ハーモニー」(読了)と「屍者の帝国」(読みかけのまま読了に至らず)が地上波テレビで放送された。「屍者~」は別人が引き継いで完成させているので別物と思っていたし鑑賞してもそうだった。(…ああいうの、スチームパンクっていうの?)

「ハーモニー」は今作のその後の世界などと思っていたけれど、あらためて劇場で今作を観たらそれすら覆された感がある。

もしどうしても紐づけするなら、『こうなったりして』という網の目の先の1つの世界程度かなと。

 

とにかく人がいっぱい死ぬ。

頭に穴が空いて手足は吹き飛びグチャグチャになって血が溢れ出して。子供もバンバン撃ち殺される。

死体を掻き集めて製造した戦闘員に「ハンバーグになるまで」銃弾を撃ち込む。

腕どころか下半身を失っても痛みを痛みとして感じないまま息絶える戦闘工作員

脳に「痛覚」や「恐怖」「怯え」そして「嫌悪感」や「罪悪感」すら麻痺するフィルターをかけられて「世界の秩序」を守ろうとする人間社会。

 

虐殺器官」がある限り、人間は虐殺をする。

それを発動する条件がある世界とない世界。

「見たくないものは見えないもの」

 

 

現世に戻りたい、とりあえず。

「ピザとスタバ」で戻れるんだ!それがあれば見たくないものは見ないで暮らしていける。

 

伊藤計劃よ。あなた何処にいるんだ、今。

この世の中の行く先を何処まで見通してたんだ…。

 

 

人工筋肉のポッドは後半大活躍。

ポッドに乗り込むまでの様々な儀式的な段取り、これらは記憶の通りでやっぱりにやけてしまった。ああそうそう!なるほどこれね!あれ待って、こんなに攻撃力あったっけな…?苦笑

そして薄っすら思い出す、イルカの筋肉を使ってるんではなかった…?あれ?人工筋肉?

 

下半身のロボット、最近開発されたよね。つい最近そんなニュース見たよ。

今作それがさりげなく登場したので「ほぇ?」てなった。ほんとにほんとに形状はそのロボットそのままで息を呑んだ。

「人工筋肉による脚」なんだって。でもそれは実は「本物の生物の筋肉を使ったもの」と明かされる。

表向きには「人工筋肉」と謳いつつ、実は海洋生物を繁殖させて、貧困にあえぐ人々に肉を解体し筋肉を取り出させるという労働の搾取によって製造されてると。「生き物を犠牲にして製造されてる」と。海洋…生物。

 

 

現実と非現実が、分からなくなる。

息がつまる…

もうどう考えていいのか分からない。

殺し合いがイケナイことは分かってる。充分に分かってる。

監視もただの暴力も、児童虐待も、みんな悪いことは今も存在してる。

未来にも存在し続ける。

 

人には「虐殺をする器官」が脳にあるのだから。

 f:id:bionic_giko:20170215223425j:image

エンドロールの制作者がほぼ多分100%に近い、日本人の名前ばかりだった。

日本アニメーションのプライドを感じた。(外国人スタッフを入れることについての良し悪しの問題ではない。そもそもそこを問えるほど内情につては無知なので。)

プロジェクトの途中で、制作会社が倒産した。詳細は知らないけど、潰れかけたプロジェクトを、新たな制作会社が立ち上がり丁寧に再構築して、このクオリティで公開に漕ぎつけた。

これに関わる人たちの熱に、本当に泣けるほど感動した。

本当に素晴らしいと思う。

 

 

 

追記20170221

昨日、原作本をポチりました。(読んだ時は借りたもので。もしかしたら本棚に埋もれてるかもしれんけどw)