ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

左利きであることがアイデンティティとなりうるか?(1)

 

片腕を失ったドラマーのお話を目にしたので考えてみました。

尚、その方は見事にドラマーとして復帰されたそうです。ものすごい話でちょっと想像がつかないです。

考えてみたら、確か片腕のピアニストもいらっしゃるのをどこかで見たことを思い出しました。

いずれにせよ、

人間の可能性は「諦めないこと」や「努力」によって無限ではないにしても、大きく広がるんだなぁ

と心から思います。

 

 

 

で、話は結構変わるんですけど←w

「片腕」でずっと気になってたことを…

 

 

私は左利きです。

多分4歳か5歳くらいから習字を習わされて、文字を書くことには右手を使うようになりました。

「矯正」という言葉が好きではないのですが、日本の文字は右手で書く方が自然な成り立ちなので結果的にはそういうことになるかもしれません。例によって非常に少ない記憶の中にも、右手で筆を持ち書かされることがものすごくめんどくさかった想い出があります。

」というひらがなが白抜きになった半紙を前に筆を使うのですが、あの白抜き文字や、こっそり左手に持ちかえたところを先生にすかさず見つかって無理やり右手に戻されたことが、割りと鮮明に頭に残っています。

 

トラウマとか大袈裟なものではないのです。でも未だに記憶にあるというのは、まあまあ私にとってはめんどくさかったんだと思います。それでも初段くらいまでは頑張ったし、綺麗な文字が書けることについて親に感謝をしてます。(もちろん左手でも上手に文字を書く人はおります)

文字以外については一切干渉を受けたことがありません。

 

もし幼少期に知らずにストレスを受けたかもしれないと言われても、それがどういう影響を与えたのかピンときません。もちろん相手や意図によっても違うでしょうし。

 

当たり前に存在しているものに特に腹を立てたりしませんので、それがストレスだったかということも不明です。多分「使いにくっ!」くらいは思ったかもしれません。

ただそれもこれもあれも全て左利きゆえと知った時は涙が出ました。自分が劣っていると思い込んでいることが多かったからです。左利きの私にとって、当たり前に存在する様々な道具を日常使うことは結構に困難だったのだと知ったのは大人になってからです。

 

「私は結構苦労人やったんや!」と母に伝えたことがありますが、感想は「へぇ、そうかぁ」でした(笑)

 

最初からそれしか与えられなければそれをどっちの手で使おうが本人次第でしたので、結局自然にだいたい左手を使っていました。

1960年代後半、左利きグッズなどという言葉もない頃です。

文房具や生活用品、キッチングッズ(特に刃物)、公共の様々(ドアノブ、自販機のコイン口等々)に至るまで、大体のモノが「右手で使うもの」として作られていました。でもたいていのものはそんな難儀だと思っていませんでした。

 

ハサミはなかなか曲者です。

ハサミほど使う手によって役立たずになるものはないんじゃないかと思います。

ハサミを左手に持ちかえて紙に当ててみてください。「バカにしとるんかっ」て笑うくらい役立たずです(笑)

親指とその他の指で握る動作(力のベクトル)が刃の合わせに連動していますよね。紙を切るこの仕組みを考えた人って一体…?

なのでハサミは自然と右手で使っていました。強いられた記憶はありません。切り口は汚く、線の通りに上手に切り進んで行くことが非常に下手でした。

何度か先生に「下手ねぇ」的な事を言われました。でもどうしてそうなってしまうのか、誰も教えてくれなくてちょっとつまらなかったです。

今もハサミは苦手です。まっすぐ切ることができません。(心が捻くれてるからかもしれませんが)

ああ、利き手ではなかったからかと後になって分かりましたが、別に今さら左用を買う面倒やお金は無駄に思えます。その程度のことですし。

 

線や絵は左手で描きます。定規を右手で押さえ左で線を引くのですが、

 

大人になって左利き用の定規を目にした時の驚きたるや!

 

普通の定規のメモリは左から表記されています。「〇センチの線を引く」「この線が何センチか定規で計る」という時に私は頭の中で少し考えていました。

「20cmのメモリでどこまで引けば2cmの線になるのか」という引き算をしていたということになります。あ、些細なことですのでこれで数学が得意になったということはありません。むしろずーっと苦手です(笑)

 

なんにせよとりあえず大人になって困ってる事がないのが現実です。

 

余談ですが「左利きカタログ」という通販雑誌が出版されたことがあり、まず購入したのがたまごレードル(わからん人ググってw)と定規セットです。レードルはともかく、大人になって定規セットなど不要です。でも「分度器」を見たかった!左利き用の分度器!!「おおおおおああああ」ていうだけでしたが(使い道ない)。カタログに「左利きの苦難」的な体験談が様々掲載されており、その時にそういった幼少期からの面倒や苦手意識が「左利きであるがゆえ」だった事を知り涙が出てしまいました。

いや、大袈裟なんですけど本当に「ワタシ、辛かったんや!」という…(前出の母との会話辺りに戻る)

 

 

漫画や音楽が好きになったのが、左利きのせいかと言われたら実感はありません。親や兄からの影響の方が大きな要因と思います。

もともと両親も親戚も音楽好きで、いとこたちもだいたい何かしら楽器を習わされていたし、従兄弟の部屋には漫画がいっぱいありました。声楽家や漫画家になったいとこもいます。

親戚の中で左利きの人間は私だけでした。何もかも中途半端に大人となった平凡な私(笑)

 

血筋に誰もいない左利きという事で、結構いつまでも「橋の下から拾ってきた」という親の悪い冗談を本気で信じて暗い気持ちになったりしていました、いや真面目な話(笑)

 

 

 

これは続きます(ちゃんと最後まで書きましたw)