ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

野生のいのちと対峙する (1)

https://www.instagram.com/p/zXG6-wCZEb/

20150221

 

朝からいきなり / 下の事務所のブチョーが弱ったスズメを拾ってきて

「ほい、飛べないよ」て手渡してきた

手のひらに包むと眠ってしまう / ふわふわでかわいくて

頬ずりしたりキスしたり / (絶対やってはいけません)

あんまりふわふわだから

子雀の巣立ちの失敗なのか / でも大きさとクチバシからして

弱った成鳥みたいだし / ちょっと判断がつかなかった

小鳥が羽を膨らませているのは / 弱っている証で間違いないんだけどね

手の中で眠ってくれるのも嬉しいのだけど/仕事にならないので

お椀にホカロンとタオル敷いてベッドにして / モニター前で完全看護

て言っても何にも出来ないんだけど

 

その内様子が変わってきて

ちょっとやはりこれはと

陽射しの明るいベランダからは / たくさんのスズメ達の声が聞こえたから

最後はお日さまとお友達に見守ってもらおうねって

手に包んで外に出た

保護してからほんの1時間ほどのこと

私の手の中で / ひどく苦しむ様子もないまま

私の手の中で / ふわふわしてた小さな身体は

呼吸が止まった

命って不思議だね

こんな小さな身体にも心臓や血管があって

人間も同じ仕組みで生きてる

感情的な同僚のいない日で良かった

冷静に看取ることが出来た

 

ツイートしながら / 涙が溢れてきて

抑えたり泣いたりを繰り返した1日

亡骸は自宅に持ち帰り

なんだかたまたまあった花の種と共に/土しか入ってない鉢に埋葬した

 

さよなら

愛らしいキミ

人の手の温もりを感じてくれたかい

何も出来なくてごめんね

たった1度だけ鳴いた声が耳から離れないよ

 

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去年の2月にインスタグラムにこんな投稿をした

この時のことをたまに思い出す

 

 

こんこんと眠り続けるスズメに何が必要なのかも分からないし

いずれにしても何もできることがないと思った

眠っているのは安心しているからではなくてそれしかできないからだと分かっていた

 

寒い日だったのでぬるま湯を用意してくちばしにひとしずく垂らしても

それも拒むように首をそむけた

 

何度か身体を歪めて、ひきつけを起こした時

奇妙な体勢となって鳴き声を上げたのでさすがに動揺したけれど

お椀から飛び出さないよう手を添えても、転げるようにひきつけを繰り返した

 

もし部長がこの子を拾って私に手渡してくれなかったら

私はこの子に触れることもなく、最期の声を聴くこともなく

悲しい気持ちを覚えることもなく、いつもの様にその日を過ごしていたろう

 

そしてこのスズメもこんな風に緩慢な死ではなく

カラスにひと飲みにされていたかもしれない

 

「かもしれない」

 

野生の命は自分たちの知らないところで消えては生まれる

血を流し骨が砕かれようとも、静かに土の上で迎えようとも

その痛みも苦しみも、私たちの知るところにはあまりない

ただただ、自然の営みである

 

例えばもしこのスズメが私のもとで育ち

かわいらしい表情を毎日見せてくれている境遇にいたら

こんな風に穏やかな気持ちで最期を看取ることも出来なかっただろう

鳴き叫び取り乱し、何日も何日も悲しみにくれて、涙に溺れるほど泣き続けていると思う

これまで小さな命とのお別れは、いつもそうだった

亡骸を見ては泣き

思っては泣き…

 

この日本当に、私はとても良い体験をしたと思った

悲しい気持ちはあっても、それは悲劇ではない

人が立ち入れない、街でも森でも、野生で生きるものたちの営みの一端に立ち会えたのだから

 

 

続く