ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「永い言い訳」~モックンうぜぇえぇぇ

(勢い書いてるので、もしかしたらネタバレに近いことになっているかもしれないです。細かいエピソードはもちろん書いているつもりはありませんが、ご注意を。)

 

 

荒ぶるモツくんを観たいがために、

あ、あとまさかの竹原ピストル君を観に行って来ました。
(ぎこ家では元シブがき隊をモツくんヤツくんフツくんと称しているだけですのでそこはスルーして下さい。)

 

 


重い。

何度も観てきたトレーラーでもそう思っていたけど、多分劇場で終わった後にも号泣が止まらなかったのは人生で初めてかもしれない。

友達が隣にいてくれなかったら。
うっかりひとりでレイトショーだったら、帰りの電車に飛び込んでしまっていたかもしれない…

 

 

「怒り」同様、これもまたキャストが全員良かった。
ミュージシャンとしての泥臭いのに素朴でかわいい謎キャラのピストルは、それが上手く演技にシフトしていて、更には触れては行けない「怖い」面をたまに見せつける。
素直ですぐ泣いてすぐ笑うような無邪気なおじさんが、実はものすごい怖かったらどうしよう!!って思うじゃないですか。ホラーじゃないですか。
これは監督の意図的なものなんでしょうけど、シャレにならない「ひっ」っていう一瞬を何度も使うんですよ。
最終的にただのネタなんですけどね、「そんな脅かしてどうすんの、もうっ」てなるw

 

緩急が上手いよねぇ、西川監督って…
(偉そうに言いましたが、西川作品は多分初めて観ました←)

 


子役2人もちょっとすごいですね。
丁寧に自然な成長を見せて行きます。かなり長期間の撮影でその身体的心理的変化に目を見張ります。

もちろん、突然幼い兄妹が母親を失う訳なので(絵面だと完全に「蛍の墓」です(涙))、兄の健気な姿を追っていると、気付かぬうちに息を詰めています。
無言で頑張る、深い悲しみを表せないのにふとした失敗に突如脆くなってしまう。

 

 

んもおおおおおおすーごーいー分ーかーるー…涙

 


妹は妹なりに頑なにこれまでの世界観を守っていてそれはそれで痛々しいのですが、セリフが極端に少ないのに彼女の瞳や小さな仕草がすごい表現力です。
大人の俳優であんな演技できないですよね。
演技に見えないんです。どう言われたらあんな風に首を傾げて何かを訴えられるんでしょうね?

 

それでも兄の多感な時期の生活の変化は、余りに過酷です。そして当然のように反抗期と自暴自棄、暴発を起こします。

 

自分は割とその辺りの時期に似た様な拗らせ方を引き摺っているので、どうしても自己投影してしまいます。

 

もちろんモツくん=幸夫(さちお)くんのかまちょ大人にも悶えるほどダブって叫びたくなるんですけどね、ええ。
こんなに子どもっぽいまま大人になる人がいるのかというくらいキレまくる幸夫くん。観ているとイライラなんかすぐに度を越してウンザリして、最終的にやるせなくなります。

 

スカッとジャパンとかに出ればいいのに←
(あんまり真面目に観てないけどエヴァのシンジくんに通じる幼稚な感情の発動を、50歳イケメンおっさんがいとも簡単にします)


他人や子供に対しては妙に大人ぶった偉そうな言葉を投げかける癖に、本人の欠点については一切修正を試みない人間。


…あれ、それってワタシじゃねっ?

 

素直に弱さを表現できない自分、偉そうな自分、限界が見える自分、可哀そうに思ってほしい自分、居場所がない自分…

少年の成長と、アダルトチルドレンの様な幸夫くんの成長はリンクします。
影響し合い共依存、分離を経て、やがてお互いを投影して自分を見つめる事が出来る様になります。

 

 


”人生とは他者だ”

 

揺れる電車のシートで、幸夫がノートに乱れた文字で綴る。(多分こう綴ったと思う)

 


「知ってる」ってまた涙腺が…

それはずっとずっと思って来たかもしれない。こんな風に具体的な文章にされてハッとする。
これは自分じゃない。あれが自分だ。
ああなりたい自分。
自分の人生はどこにある?
いつからそんな風に思ってたかな、いわゆるアイデンティティに目覚めた中2くらいかな。

ずっとそうやって生きてる。…ワタシは

 

 

素晴らしく苦しい映画でした。