ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「聾の形」

映画デイなので、土曜だけどレイトショーで観てきました。

まあまあ多くの人が、カポーがわっさわっさおりました。
24時終了で、エンドロールの余韻もそこそこに走り去っていく人たちも。
そんな無理せんでもええやん…(余計なお世話)

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君の名は。」については多くのツイートやブログを目にしました。
ネタバレ含めて、皆さん「シン・ゴジラ」同様回を重ねたり詳細、深い部分まで考察されていて素直に「すごいなぁ」と。

 

自分は映画館での鑑賞は基本的に1度しかしないです。どんなに感動しても、「あれ?」て思っても。
特に決めてる訳ではないけど、他にも観たいモノがあって時間や予算の都合もあるし、まあ、最初の感動が残ってる間はそれで十分満足してるからということかも。

 

どうしてももう1度観たいとか、気に入った作品なら盤を買います。
たまーに観る程度ですけどね。
割りと本当に気に入ると記憶には残るので、それで美味しいです(笑)


この作品については自分のTLにはあまり多くの感想は出てこなかったです。
人気ないわけではなさそうなニュースが多いのに、
むしろ「君の名は。」の2回目3回目鑑賞や新しい発見、サントラいいとかが多くて、
「聾の形」を観た人自身が多くを語らなかった感じでしょうか。
(単純に自分のフォロイーさんにそっちに興味のある方が少なかっただけかな?)

鑑賞してみてなるほど、「障がい」や「イジメ」「自殺未遂」など、ちょっと発信しにくいデリケートなワードです。

人によって思うこともかなり違うし、何を言っても反論が出そう。
自分も感動して涙腺崩壊しましたが、すぐに言葉にすることはためらいました。

 

ただ直球で「障がいとか関係ない話じゃない?」とは思いました。
もうそこからして非難浴びそうですが…汗

 

ま、自分の弱小アカウントでは何の反応もあるはずもなく(笑)
このブログも誰も注目していないので出来る限り言葉は選ぶけど、正直に書きます。

 

念のため、原作は読んでいませんし、製作側の意図とかは特に追究していません。
あくまで自分が劇場版を鑑賞して感じたことしか書いていません。
それと、これもズルいですが
あくまでこれは個人の感想で誰かを傷つけるために書いてるわけではないのですが
もしどなたかの気持ちを傷つける文章がありましたら、どうかお許しください。

 

 

小学生の頃から、自分だって「死にたい」と具体的に言葉にしなくても、それに近いほど逼迫した気持ちになって悩んだ経験があります。
高校生になっても20歳になってもそれ以降も。
五体満足で不可解な理由で虐められたり、人間関係で死にたくなるほど自分を責めたり

そういう人は少なからずいると思います。

悩み、苦しんで、眠れぬ夜を過ごし、「自分なんていなくなればいい」と思ってきました。だから主人公ふたりの姿には本当にそういう自分がだぶって見えて、のっけから切羽詰った苦しい気持ちになりました。

 

自分のやってしまったことをずーっと後悔し続けて、誰の顔も見られなくなってしまう。贖罪の方法が分からない。

 

自分に何か人を不愉快にさせる要素がある(それが障がいと同等などとは思わないけど)。
自分では解決できないそれを、どうにか受け入れて欲しい気持ち、フォローされて申し訳ない気持ち、ありがたい気持ち、そして疎外される恐怖。

 

乱暴者の男の子は怖かったし、言葉や物理的な暴力もあった。きっかけも理由もなく乱暴な扱いを受けたり、女の子もある日突然話をしてくれなくなったり。
そうやって傷ついたことのある子供時代、経験のある人っていますよね?

 

それは「好きの裏返し」だとか「理解したかったけどどう接していいか分からなかった」なんて
やられた方としたら関係ないんですよ。
ただ怖いし、なんで嫌われてしまうのか、自分の何かが悪いのかって思うじゃないですか。
「ごめんなさい」という言葉は防衛です。自分が傷つかないための。
「お願いだから存在してる自分を許して欲しい」

 

発端は多分に些細なことなんですけど、この映画の場合「聾唖」ですから「些細ではない」とは思います。
ただ虐めてくる相手に対して怖くてものが言えないという点では同じです。

 

虐めに加担してたとかしてないとか、注意したの見ないフリしてただの、そういう事も含めて、みんなどこかに覚えのある話じゃないですか?
虐められる側のせいにするとかもよくある話。

それを上手く忘れていける人、片隅に罪悪感を残しつつも生きていける人、死にたくなるほど心に傷を負う人…みんな人は違うから責め合っても仕方ない。泣いても仕方ない。

 

遊園地のシーン、橋の上でのシーン、気持ち悪くてどうしようもなかったです。
なかったことにしたいとか、誰かのせいにしたいとか、誰かがいなかったらとか、そういう感じ。

言葉なんて、起こった過去の事実を説明しきれないのです。


(あの教師はどういう感じだったんですかね…知ってて指導せず、学校側が問題にしたら手を上げさせるて言う、あの辺りは原作どうなんでしょう?あの教師には何か心に残ったんでしょうか)

 

ただこれを「聾唖者」とか「障がい者」とか言うのは、自分は嫌でした。
恋はおろか、人の心を全然理解できない障がいもあり、そういう子が普通学級に来ることもありますよね。障がいって広くて深いです。そこに焦点を当てるには青春ドラマだの恋だのっていう物語には無理です。

勿論「耳が聞こえないということはどういうことか」というひとつの情報にはなると思いますけど。

 


てことで「これは人の成長の物語であって、決して障がいを題材にしてる作品じゃない」という風に感じました。

多くの人が成長過程で味わってきた淡い気持ち、重い気持ち、楽しい気持ち、悲しい気持ち、そういうものをエンターテインメントとしてちょっと大げさに描いてあるものだと思います。
小さなことがこんな風に人を傷つけるんですよ、ひいては「死」を感じさせることになるんですよっていうリアリティも含めて。

 

 

自分はずーっと泣いてました。何人かのキャラクターに感情移入して。(非常に感情移入しやすいんでw)

 

辛かったので「いい映画観たなー」っていうのがちょっとなかったかな。
みんながなんとなく笑顔になったエンディングももやったし、彼のふさがった気持ちが、涙を流すほどに変化したということには、すごくホッとした…ていうくらい。(そこで自分も最高潮の号泣だったんですけどね)

 

これがとっても感動的で良かったって言う人を否定するつもりもないです。
それはそれでとても素直な感情だと思います。

「こんなの感動ポルノだ」という人にはうんざりしますけどね。なんか心にバイアスかかってません?て聞きたいです。

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