ぎこ記

映画や音楽多め。あとどーでもいいひとりごち

映画「ヘレディタリー/継承」

これを観た洋画ホラー好きの方ならほぼ同じ気持ちになると思う。至上最恐ってこたない…。ただ地獄や悪魔が恐ろしい強い信仰心のある人たちには眠れないくらい怖いだろうっていう種類。

脅かし演出が過剰でなくてしかも物語があって良作だった。いつもなら座席で50cmジャンプとか薄眼とか視界からスクリーンを半分外すとかするけど、せいぜい5cm程度のジャンプ1回(2回?)だった。

 

13歳の妹の異形感、これも自分が東洋人だからこその感覚なのかなぁ?

こんなかあいらしい女優さんやったんやな。アングルとか、ちょっと目の下に特殊メイクしてるのかな。それとも完全な演技なのか…謎。(「コリッ」ていう舌を鳴らす音。あれって子供の時に大人がイライラするほどやってたと思うけど、こんな怖いっけ?てなるよ、この妹の場合。)

f:id:bionic_giko:20181217165723j:plain f:id:bionic_giko:20181217165736j:plain


兄ちゃん役は、最初「冴えんなぁ」と思ってたのにだんだん魅力的になってくる不思議。ラストシーンの美しさなんて「えっ」てなる。演技か。いやもうこれ二人とも演技か!!

 

 

なんとなく中盤を過ぎても「ハッピーエンドにならないかなぁ…なるといいなぁ…」と…。ホラーを観る者として間違えてた、私。

親子や家族のちょっとしたすれ違い、諍い、負の感情、そして病的な要素はありふれた話だ。それが増幅していくのを観ていたら辛くなるものだし、難しいからこそ「大団円を迎えてくれ」と願うのって結構普通な気持ちな気もする。まあホラーだからそれはないんですけども。

喧嘩とか反抗期とかヒステリーとか更年期とか。それでも家族はなんとなく円を描く様になってて、だけどなかなか上手くいかなくて心が折れたりはする。私だって大人になっても親子関係で頭を抱えてる。そういうのがテーマのほのぼの家族映画とか邦画にもごっそりある。そんな気分でうっかり「せめてハッピーエンドに」て思ってしまったのだな。まぁホラーだからそれは…なんですけども。

 

人生のささいな闇やほころび。その元凶がさまざまな伏線を繋いで明らかになって行く過程は絶望感満載。「そんなことするなよー」「そんなこと言うなよー」「なんでそんな態度なんだよー」の連続。お母さんもだいーぶおかしいし。なに考えたらそんなん作る気になるねん…て眉間に皺が寄るか、または背筋を震えさす。

私が5cmジャンプした最初の衝撃で、絶対に大団円なんかあり得ないって簡単に想像出来る、実際。あとはぐわんぐわんしつつただひたすら緊迫して身体を固くするのみ。

 

グダグダ書いてしまったけどアメリカ的というか実に宗教的であって、それが「信仰ある人には怖いだろな」と思うところ。私自身は神も仏も特に強く信心がないので、ショッキングシーンには興奮しつつ、徐々に「あれこれもしや?」って宗教的恐怖に気付いて「あ、そうか」と納得感を得た。恐怖の種類って様々だなぁとあらためて思わせてもらった。